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人気資格の日商簿記。
会計の知識に加えて、財務諸表の読み方や経営分析、会計的な意思決定についても学べます。
数年前までは年3回のペーパー試験だけでしたが、2020年12月からはネットでの受験もできるようになりました。
本記事では
について解説しています。
ネット試験とは?
ネット試験とは、紙での試験ではなく、テストセンターにあるパソコンで受験する試験です。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年6月実施の第155回試験が中止となったことをうけ、感染症や自然災害が発生しても、継続的に試験を実施できるように、2021年度に導入された試験制度で、
随時パソコンで試験を受けます。
ネット試験と統一試験の違い
まずは違いを一覧表にまとめました。
ネット試験 | 統一試験(紙の試験) | ||
インターネット申込方式 | 会場問い合わせ方式 | ||
対象級 | 2級、3級 (1級は対象外) |
1級、2級、3級 | |
実施時期 | 各テストセンターが定める日で随時 ただし以下の期間は休止
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1級:6月、11月 2級、3級:6月、11月、2月 |
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試験会場 | 全国140会場超 | 全国120会場超 | 全国の試験会場 |
試験時間 | 2級 90分 3級 60分 |
1級 180分(途中15分休憩) 2級 90分 3級 60分 |
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試験範囲 | 共通 | ||
合格基準 | 共通 100点満点で70点以上とれば合格 1級は足切り制度があり、4科目(各25点満点)のうち10点に未満の科目があると合計で70点以上でも不合格 |
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合格率 | 2級 37〜46% 3級 41% (2020年12月以降の試験を集計) |
1級 8〜10% 2級 8〜30% 3級 27〜67% (2021年2月以降実施分を集計) |
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合格発表 | 試験終了直後 | 後日 | |
費用 (税込) |
2級 4,720円 3級 2,850円 別途、事務手数料で550円 |
2級 4,720円 3級 2,850円 別途、事務手数料が会場ごとに設定 |
1級 7,850円 2級 4,720円 3級 2,850円 |
申込方法 | 専用申込ページから申込み | 窓口や電話、インターネットなど 各試験会場により異なる |
窓口・インターネット・郵送等、 各商工会議所で定める方法で申込み |
申込期限 | 受験日の3日前までに受験予約を完了 | 各試験会場により異なる | 試験日の約2か月前より開始。 締切は商工会議所ごとに異なる |
当日の持ち物 | 身分証明書、電卓、マスク | 受験票、身分証明書、電卓かそろばん、 筆記用具、マスク |
ネット試験についてそれぞれ解説していきます。
対象級
ネット試験で受験できるのは2級と3級です。
実施時期
各試験会場が定める任意の日に受験可能です。
統一試験(ペーパー形式)の前後に、ネット試験の施行休止期間が設定されているため、この期間だけは受験できません。
試験会場
全国のテストセンターで受験します。
テストセンターの検索は商工会議所の検定試験サイトから検索ください。
【日本商工会議所 ネット試験施行機関リスト】
https://links.kentei.ne.jp/organization
試験時間
ネット試験、統一試験ともに共通で、2級は90分、3級は60分です。
試験範囲
ネット試験、統一試験ともに共通です。
詳細については、商工会議所のHPに出題区分表があります。
【日本商工会議所 簿記検定試験出題区分表】
https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/exam-list
合格基準
100点満点で70点以上とれば合格です。
合格率
2級はネット試験の方が統一試験よりも合格率が高いです。
3級の統一試験は、実施回によって合格率に大きなばらつきがありますが、3級のネット試験の合格率は安定しています。
ネット試験開始以降に行われた統一試験の平均合格率と比較すると、統一試験の方がわずかに合格率が高くなっています。
ただし、回によっては合格率が2割台の回もあるようです。
【参考】過去の合格率
2級(ネット試験)
期間 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
2022年4月〜2022年12月 | 72,643 | 27,390 | 37.7 |
2021年4月〜2022年3月 | 106,833 | 40,713 | 38.1 |
2020年12月〜2021年3月 | 29,043 | 13,525 | 46.6 |
合計 | 208,519 | 81,628 | 39.1 |
2級(統一試験)
回 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
162回 (2022年11月) |
15,570 | 3,257 | 20.9 |
161回 (2022年6月) |
13,118 | 3,524 | 26.9 |
160回 (2022年2月) |
17,448 | 3,057 | 17.5 |
159回 (2021年11月) |
22,626 | 6,932 | 30.6 |
158回 (2021年6月) |
22,711 | 5,440 | 24.0 |
157回 (2021年2月) |
35,898 | 3,091 | 8.6 |
合計 | 127,371 | 25,301 | 19.9 |
3級(ネット試験)
期間 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
2022年4月〜2022年12月 | 143,989 | 59,694 | 41.5 |
2021年4月〜2022年3月 | 206,149 | 84,504 | 41.0 |
2020年12月〜2021年3月 | 58,700 | 24,043 | 41.0 |
合計 | 408,838 | 168,241 | 41.2 |
3級(統一試験)
回 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
162回 (2022年11月) |
32,422 | 9,786 | 30.2 |
161回 (2022年6月) |
36,654 | 16,770 | 45.8 |
160回 (2022年2月) |
44,218 | 22,512 | 50.9 |
159回 (2021年11月) |
49,095 | 13,296 | 27.1 |
158回 (2021年6月) |
49,313 | 14,252 | 28.9 |
157回 (2021年2月) |
59,747 | 40,129 | 67.2 |
合計 | 271,449 | 116,745 | 43.0 |
日本商工会議所公表の受験者データを集計
合格発表
ネット試験では、試験終了後すぐに自動採点され合否が判定されます。
合格者は、デジタル合格証が取得できます。
紙の合格証はもらえません。
費用(税込)
受験料は2級4,720級、3級2,850円ですが、別途事務手数料が550円程度かかります。
申込方法
インターネット申込方式と会場問い合わせ方式の2種類があり、インターネット申込方式は申込専用ページから申込みとなります。
申込みはこちら(CBTSの日商簿記申込サイトへ飛びます)
会場問い合わせ方式はネット試験施行機関の一覧から受けたい会場を選んで申込みとなります。
申込みはこちら(商工会議所の日商簿記申込みサイトへ飛びます)
申込期限
インターネット申込方式は受験日の3日前までに受験予約を完了する必要があります。
会場問い合わせ方式は試験会場ごとに申込期限が異なるため、個別に確認する必要があります。
当日の持ち物
ネット試験では受験票が発行されないため、身分証明書と電卓、マスクがあれば大丈夫です。
筆記用具は試験会場で貸し出されるボールペンを使用するため持ち込めず、そろばんも持ち込みめないため、電卓を使いましょう。
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参考【簿記・会計士・税理士試験用】試験に持ち込めるおすすめの電卓3選
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ネット試験と統一試験のメリット、デメリット
ネット試験のメリット・デメリット、統一試験のメリット・デメリットをまとめました。
ネット試験のメリット、デメリット
メリット
- いつでも受けられる
- すぐに結果がわかる
- 合格率が統一試験より高い
デメリット
- PCの操作に慣れていないと入力に時間がかかる
- いつでも受けられるので勉強に気合が入らない
- 問題用紙への書き込みができない
- 事務手数料がかかる分、受験料が高い
ネット試験は、受けたいときにすぐに受験でき、すぐに結果がわかることが最大のメリットです。
また、受験者ごとに問題が違うため、正確な合格率はわからないですが、合格率は統一試験よりも安定しています。
一方で、普段は紙に書き込んで勉強していることが多いと思いますので、解答方法が異なる点や、PC操作が必要なので、慣れや打ち間違いへ注意が必要などのデメリットもあります。
統一試験のメリット、デメリット
メリット
- 問題用紙への書き込みができる
- 試験日が決まっているので、試験日を目標にスケジュールを立てられる
デメリット
- 試験日が決まっている
- 結果がわかるまでに時間がかかる
- 実施回によって試験の難易度にばらつきがある
紙のテキストや問題集で試験対策をしている人が多いと思いますので、普段の勉強と同じように紙に書込みをしながら回答できることが最大のメリットだと思います。
一方で試験日が決まっており、結果がわかるまでの時間もかかるため、時間に余裕を持った計画にする必要があります。
また、難易度にもばらつきがあるため、難問回に当たった場合、基礎ができていても不合格になる可能性もあります。
結局どちらを受けるべきか
私はネット試験をおすすめします。
試験範囲、難易度ともに同一と発表されていますが、ネット試験の合格率は概ね一定なのに対して、統一試験は回によって合格率に幅があります。
極端に合格率が低い回もあるため試験の難易度に当たり外れがあるようです。
ネット試験は、受験者ごとに問題が違うため、用意されている問題が多く、試験実施回数も統一試験よりも多いため、基本的な問題が出題されていると思われます。
どうしても紙の合格証明書がほしい場合や、そろばんで受験したい場合には統一試験を受ける必要がありますが、合格の価値に違いはないため、合格率の安定しているネット試験の方がいいと思います。
ネット試験のデメリットとして挙げた「PCへの操作に慣れる必要がある」ことについては、経理をはじめとした実務においてPCを使用しないことはないため、あまり使い慣れていない人は、簿記試験をきっかけとして、基本的な操作に慣れておく機会ととらえるといいと思います。
まとめ
日商簿記試験のネット試験と統一試験の違いについて解説しました。
どちらで合格しても資格の価値は変わらず、それぞれにメリット、デメリットがありますので、ご自身にあった試験方式で合格を目指してください!