※この記事にはプロモーションが含まれています。
こんなお悩みを解決します。
簿記を勉強する場合、まず覚えるべきとなる仕訳ですが、
簿記を学習することで、会計の知識に加えて、財務諸表の読み方や経営分析、会計的な意思決定についても学べます。
本記事では
記事の内容
について解説しています。
簿記の仕訳とは
簿記の仕訳の解説の前に、簿記の目的です。
簿記の目的は、企業のお金の出入りや、日々の取引などを帳簿に記録して、その記録を集計して報告書(貸借対照表や損益計算書など)を作ることです。
次に本題の仕訳ですが、仕訳は、簿記の目的である報告書を作成するために、日々行われる様々な取引を、統一の科目(勘定科目)に変換し、金額とともにまとめためのものです。
簿記試験では、報告書の作成にあたっての技能についての知識が問われ、簿記のルールの1つに仕訳があります。
試験では、貸借対照表や損益計算書の作成に関する問題も出題されますが、出題された取引を正確に仕訳として表すことができれば、あとは集計するだけで簡単に答えが出せますので、仕訳は確実に理解しておきたい内容です。
仕訳の基礎
ここからは、仕訳を行うために押さえておきたいことを解説していきます。
仕訳のルール
仕訳はルールが決まっているため、仕訳を行うためには、そのルールを覚えてしまえば大半の問題は回答できるようになります。
ルールは、以下の4ステップです。
①様々な取引を勘定科目に変換する
②勘定科目を借方と貸方に振り分ける
③その勘定科目に対応する金額を記録する
④貸借が一致しているかを確認する
(↑個別の説明箇所へのリンクを貼っています。)
例えば、以下のような取引を例に説明していきます。
例題
銀行から500の融資を受け、土地を300で購入する契約を締結し、200を支払った。
① 様々な取引を勘定科目に変換
まずは、取引内容を分解して、取引をどの勘定科目に変換できるかを考えます。
例題の取引は、「銀行から500の融資を受け」と「土地を300で購入する契約を締結し、200を支払った」の2つの取引に分けることができます。
「銀行から500の融資を受け」については、銀行からお金を借りたので、「預金」と「借入金」に変換できます。
「土地を300で購入する契約を締結し、200を支払った」については、土地を購入して一部の代金は支払い、一部は払っていないので、「土地」と「預金」、「未払金」に変換できます。
②勘定科目を借方と貸方に振り分け
使う勘定科目を決めたので、次は、それぞれの勘定科目を借方と貸方のどちらに振り分けるかを考えます。
「銀行から500の融資を受け」については、資産である預金と、負債である借入金が増えたため、借方に預金、貸方に借入金を振り分けることになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
預金 | 借入金 |
また、「土地を300で購入する契約を締結し、200を支払った」については、資産である土地が増える一方で預金が減り、負債である未払金が増えたため、借方に土地、貸方に預金と未払金を振り分けることになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 預金 | ||
未払金 |
③勘定科目に対応する金額を記録する
④貸借の一致を確認する
最後に借方・貸方に振り分けた勘定科目に対応させる金額を決めていきます。
「銀行から500の融資を受け」については、預金と借入金が500ずつ増えるため、それぞれに500を記録します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
預金 | 500 | 借入金 | 500 |
最後に確認として、借方と貸方の合計がともに500で一致しているため、これで1つ目の取引に対する仕訳は完成です。
2つ目の取引である「土地を300で購入する契約を締結し、200を支払った」については、300の土地を購入したため、土地は300増えています。
また、代金の一部として200の代金を支払ったため200の預金が減少し、300と200の差額の100は、これからの支払いであるため、未払金が100となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 300 | 預金 | 200 |
未払金 | 100 |
こちらも、最後の確認として、借方と貸方の合計がともに300で一致しているため、2つ目の取引に対する仕訳も完成となります。
資産、負債、純資産、収益、費用
用語についても解説していきます。
まずは、資産、負債、純資産、収益、費用についてです。
資産
資産は、企業にとっての財産や価値のあるもの、現金に交換できる権利などです。
例えば、現金、預金、受取手形、売掛金、貸付金、有価証券、土地、建物などがあります。
負債
負債は、企業が支払いを行う義務です。
例えば、買掛金、支払手形、借入金などがあります。
純資産
純資産は、総資産から総負債を控除した残りの部分のことで、企業を清算したときに残る部分です。
株主からの出資や利益の積上等で構成され、例えば、資本金、資本準備金、繰越利益剰余金、自己株式などがあります。
収益
収益は、商品を売った売上や、利息の収入、資産を売却したことによる利益など、企業の収入です。
例えば、売上、受取利息、固定資産売却益、有価証券売却益などがあります。
費用
費用は、販売する商品の仕入代金や、人件費、宣伝にかかかる支出など、企業が活動していくためにかかる支出です。
例えば、仕入、給料、水道光熱費、支払利息などがあります。
借方・貸方とは
次に、例の中に出てきた「借方」(かりかた)と「貸方」(かしかた)についての説明となりますが、そういう名前のものがあるくらいに考えてもらって大丈夫です。
仕訳をする際の記載場所としての呼び名ですので、慣れるまでは「仕訳の左側」(借方)、「仕訳の右側」(貸方)でも十分です。
資産、負債、純資産、収益、費用とあわせると、それぞれが、仕訳の左側(借方)と右側(貸方)のどちらに配置されるかで、増減を表すします。
ルールは、以下のとおりです。
借方 | 貸方 | |
資産 | 増加 | 減少 |
負債 | 減少 | 増加 |
純資産 | 減少 | 増加 |
収益 | 減少 | 増加 |
費用 | 増加 | 減少 |
覚え方
覚え方は、貸借対照表と損益計算書を思い浮かべて、貸借対照表の左側は資産の部なので、仕訳の左側に資産の勘定科目があると増える、
負債の部と純資産の部は右側なので、仕訳の右側に負債、純資産の勘定科目があると増える、
と覚えるか、
「現金勘定(資産)が左側にあると現金(資産)が増える」だけ覚えて、他は都度考えるという方法もあります。
例えば、負債の増減について考える場合、お金を借りるという取引を考えて、
お金を借りると現金と借入金が増える⇛(現金のルールは覚えているので、)現金が増えたため、現金は左側(借方)に書く⇛反対にも何か入れないといけない⇛今回の取引では他に借入金しか出てこないため、現金の反対側の右側(貸方)に借入金を書く⇛借入金は増えているので、負債が右側にあると負債の増加
と考えると、慣れるまで時間はかかりますが覚える量は減ります。
勘定科目とは
最後に、勘定科目です。
勘定科目は、日々行われる取引を特定の名称で分類するための見出しのようなものです。
勘定科目は、その性質に基づき大項目として資産、負債、純資産、収益、費用の5つに分類されます。
そして、それぞれの大項目の中に、勘定科目があります。
一般的な企業で使う勘定科目の名前は、厳格に決まっているものではなく、企業によって違うこともありますが、誰が見てもわかるように、わかりやすい名称が付けられています。
ちなみに、一般的にどのような勘定科目が使われているかは、「EDINETタクソノミ」と検索すると金融庁が公表している資料が出てきますので、参考にできます。
代表的な勘定科目
ここからは、資産、負債、純資産、収益、費用の5区分で、代表的な勘定科目とその内容について解説していきます。
資産
まずは資産勘定です。
資産は、企業にとっての財産や価値のあるもの、現金に交換できる権利などです。
代表的なものには、例えば、こんなものがあります。
勘定科目 | 内容 |
現金 | 紙幣や硬貨といった普段使っている現金や、銀行ですぐに現金に替えられる他人振出の小切手なども現金になります。 |
預金 | 普通預金や定期預金、当座預金など |
売掛金 | 商品の販売代金を後で受け取る権利(ツケ、掛け売り) |
受取手形 | 代金を約束手形で受け取ったときに使う勘定科目 |
有価証券 | 株式や国債などの金融商品で、短期の売買を目的とするもの。子会社とする目的や満期まで保有する株式等は、子会社株式や満期保有目的債券などで処理 |
貸付金 | 取引先などに貸しているお金 |
負債
次は負債勘定です。
負債は、企業が支払いを行う義務です。
代表的なものには、例えば、以下のようなものがあります。
勘定科目 | 内容 |
買掛金 | 商品の販売代金を後で支払う義務(ツケ) |
支払手形 | 代金を約束手形で支払ったときに使う勘定科目 |
借入金 | 銀行や取引先などから借りているお金 |
純資産
次は、純資産です。
純資産は、総資産から総負債を控除した残りの部分のことで、企業を清算したときに残る部分です。
勘定科目 | 内容 |
資本金 | 会社設立時や、増資時に株主から出資を受けたお金等 |
資本準備金 | 会社設立時や、増資時に株主から出資を受けたお金等で、資本金としなかった部分 |
繰越利益剰余金 | 過去からの利益の積上。赤字が続くとマイナスになることもあります。 繰越利益剰余金のマイナスが大きくなり、純資産の部の全体がマイナスになると債務超過になります。 |
自己株式 | 企業が持っている自社の株式。売ればお金になるため資産という説もありますが、株主からの出資の払い戻しとして、純資産の部からマイナス処理します。 |
収益
次は、収益です。
収益は、商品を売った売上や、利息の収入、資産を売却したことによる利益など、企業の収入です。
勘定科目 | 内容 |
売上 | 商品の販売で得た収益 |
受取利息 | 銀行預金の利息や、貸付金から発生する利息 |
固定資産売却益 | 建物や土地などの固定資産の売却で得た利益 |
費用
最後は費用です。
費用は、販売する商品の仕入代金や、人件費、宣伝にかかかる支出など、企業が活動していくためにかかる支出です。
勘定科目 | 内容 |
仕入 | 販売する商品の購入費用 |
給料 | 従業員へ支払う給料 |
水道光熱費 | 上下水道代や電気代、ガス代など |
支払利息 | 借入金から発生する利息 |
区別が難しい勘定科目
個人的に区別や使い分けが難しいと感じている勘定科目についてご紹介します。
預け金と預り金
1つ目は、「預け金」と「預り金」です。
結論は「預け金」は資産、「預り金」は負債です。
預け金
「預け金」の考え方は、会社が誰かにお金を一時的に「預けている」おり、いずれ返ってくるため「資産」となります。
なお、預けたお金が返ってくることを前提としているため、返ってこない場合には、「前払費用」や「前渡金」などの他の勘定科目を使います。
また、不動産等の賃貸にともない受け取った金銭は、預り金ではなく、差入敷金としたり、取引先との取引にともなうものは、差入保証金や差入営業保証金としたりします。
預り金
「預り金」は、預り金の逆ですか、会社が誰かからお金を一時的に「預かっている」おり、いずれ返す必要があるため「負債」になります。
預り金は、「従業員預り金」や「所得税預り金」など、預り金の補助勘定を使って何の預り金なのかを示して仕訳をすることもあります。
預け金と同様、預かったお金が返すことを前提としているため、返さない場合には、「前受収益」や「前受金」などの他の勘定科目を使います。
また、不動産等の賃借にともない支払った金銭は、預け金ではなく、受入敷金としたり、取引先との取引にともなうものは、受入保証金や受入営業保証金としたりします。
仮払金と仮受金
2つ目は、「仮払金」と「仮受金」です。
結論は「仮払金」は資産、「仮受金」は負債です。
仮払金
「仮払金」は、用途や金額が明確ではないものの、企業が「とりあえず仮で払った」もので、何かの代金に充当される可能性があるものの、戻ってくる可能性もあるため「資産」となります。
「仮払金」の仲間には、仮払消費税や、仮払法人税など、頭に「仮払」と付くものがいくつかありますが、いずれも資産になります。
なお、「仮」の支出であり、一時的な状態を表す勘定科目であるため、決算までに内容を確定させて、仮払の勘定科目から本来の科目に振替える必要があります。
仮受金
「仮受金」は、主に、企業の銀行口座等に不明な入金があったときに使われます。不明になるケースとしては、誤った振込や、振込人が想定のものでない場合、想定される金額より多く入金されたり、少なく入金された場合などがありますが、返さなければいけない可能性があるため「負債」になります。
「仮払金」と同様に、「仮受金」の仲間として仮受消費税等の頭に「仮受」と付くものがいくつかありますが、いずれも負債になります。
なお、こちらも「仮」に受け取っているものであり、決算までに内容を確定させて、仮払の勘定科目から本来の科目に振替える必要があります。
簿記試験での出題
簿記の仕訳について解説してきましたが、最後に簿記試験についても簡単に解説します。
簿記試験の合格のためには仕訳の理解は必須で、簿記3級、2級では、第1問で仕訳の問題が出題されます。
3級では100点満点のうちの45点分(15問以内)、2級では20点分の(5問)配点があります。
また、第2問以降では、直接的に仕訳について聞かれているわけではありませんが、仕訳と決算処理のルールがわかれば解けるため、仕訳のルールは確実に理解する必要があります。
これから簿記を学習するのであれば、日商簿記の合格を目指すのがおすすめ。
簿記の資格を持っていると、就職活動や転職活動、大学入試での優遇などのメリットがあります。
また、会計的な考え方ができるようになったり、人事評価で加点要素になったりしますので、勉強して損になることはないです。
-
参考【日商簿記3級】試験の概要や取得のメリット、勉強方法などを解説
続きを見る
まとめ
簿記の仕訳のルールと勘定科目について解説しました。
ルールは、4ステップです。
最初は、知らない用語も多くでてきて大変ですが、慣れてしまえば自然と処理できるようになります。
せっかく簿記を勉強するなら、日商簿記試験の合格を目指してみませんか?
学習方法には、スクール、オンライン学習、独学など、いろいろありますが、はじめての方におすすめなのは、オンライン学習です。
その中でも、スタンディングならオンラインで学習でき、価格もリーズナブルですので、まずは無料で体験してみてください!